やせすぎ(低体重)の深刻化:日本肥満学会の対応

・20代女性の約2割がBMI 18.5未満という「低体重」に該当し、先進国の中でも高い割合です
・SNSやファッション誌による「痩せ=美」の価値観が広がり、過度なダイエット行動やGLP‑1受容体作動薬などの適応外使用が拡大し、健康リスクを高めています

日本肥満学会の対応

  1. FUS(女性の低体重/低栄養症候群)の定義と提唱
    2025年4月に「Female Underweight/Undernutrition Syndrome:FUS」として医療的に定義。

閉経前の成人女性を対象とし、BMI <18.5に加え、低筋肉量・栄養素不足・月経異常・骨代謝異常・代謝異常・精神症状などを体系的に整理し、新たな“疾患概念”として位置づけ

  1. 多学会連携で対応策を策定
    日本骨粗鬆症学会、日本産科婦人科学会、日本小児内分泌学会、日本女性医学学会、日本心理学会と共同でワーキンググループを設置。
  2. 骨・生殖・心理・栄養など多方面から診断基準、予防指針、啓発活動を進めています。

◆やせすぎによる具体的健康リスク
・骨量低下/骨粗鬆症

・月経異常、排卵障害、不妊リスク

・栄養素欠乏:鉄・葉酸・ビタミンD・亜鉛などによる貧血・免疫低下

・代謝異常:耐糖能異常、低T3、脂質異常

・サルコペニア様筋量低下

・精神・神経症状:抑うつ、倦怠感、睡眠障害、集中力低下など

◆社会構造的な取り組みの必要性
・現状では「肥満」への対応は制度化されている一方、「低体重/低栄養」への制度的評価やスクリーニングが未整備

・深刻なメディアによる若年女性へのプレッシャーに対し、教育や啓発を通じて体型イメージへの誤解を正すことが求められています 。