糖尿病は治る病気? 大幅な体重減少を達成した人は糖尿病が「寛解」 体重を増やさないことが大切
2型糖尿病と診断され、肥満があり体重を大幅に減らした人のなかには、糖尿病が寛解するケースもあることが、香港の2型糖尿病患者3.7万人を追跡した研究で明らかになった。
アジア人でも、2型糖尿病の診断から1年以内に体重を大幅に減らすと、糖尿病寛解の可能性が上昇することが示された。
糖尿病の人にとって体重を管理し、健康的な体重を維持することは大切で、体重が増えてしまうと、糖尿病の合併症のリスクが大幅に上昇することも明らかになった。
肥満のある人が体重を大幅に減らすと糖尿病が治る?
2型糖尿病と診断され、減量に成功する人は多くはないが、肥満があり体重を大幅に減らした人のなかには、糖尿病が寛解するケースもあることが、アジア人を対象とした大規模な調査で示された。
「寛解(かんかい)」は、治療などにより病気による症状や検査異常がなくなり、薬物療法が必要なくなった状態。そのまま再発しない場合もあるが、再発する可能性はあるので、定期的に検査や治療を受ける必要はある。
肥満のある2型糖尿病の人が診断から1年以内に体重を大幅に減らすと、6%の人が糖尿病の寛解を達成し、体重を多く減少した人ほど寛解率が高いことが、香港の2型糖尿病患者3万7,326人を追跡した研究で明らかになった。
さらに、糖尿病の寛解をいったん達成した後で、ふたたび血糖値が高くなった人は67%と多かったが、糖尿病の寛解により、死亡リスクは31%減少したことが分かった。
肥満のある糖尿病の人の体重管理は大切
糖尿病の寛解を目指すことは、価値が大きいことが示された。とくに10%以上の大幅な体重減少を達成した人は、体重を増やした人に比べ、糖尿病の寛解が3.3倍多く、糖尿病の再発は48%少なかった。
「今回の研究で、アジア人でも、2型糖尿病の診断から1年以内に体重を大幅に減らすと、糖尿病寛解の可能性が上昇することが明らかになりました。肥満のある人が体重を減らすと、寛解を達成した後に、高血糖を再発するリスクが低いことも分かりました」と、香港中文大学糖尿病肥満研究所のアンドレア リュク氏は言う。
「これまで、2型糖尿病の人にとって減量が大切であることは十分に理解されておらず、そのため糖尿病の寛解は少なかったと考えられます」。
「しかし、肥満症の治療は進歩しており、今後は肥満のある糖尿病の人の体重管理が積極的に行われるようになる可能性があります」としている。
抜粋:糖尿病ネットワーク2024/5/8より