シルクの人体への効用について

【シルクの基本構成と特徴】

シルクは、蚕(かいこ)の繭から取れる天然たんぱく質繊維です。主な成分は以下の2つです。

・フィブロイン(Fibroin):シルクの中心をなす構造たんぱく質。アミノ酸の配列が規則的で、強靭かつなめらか。

・セリシン(Sericin):フィブロインを包み込むたんぱく質。保湿や抗酸化などの生理機能が注目されています。

◆シルクの健康関連効用

① 皮膚への効果

・保湿・美肌作用

セリシンは**天然保湿因子(NMF)**に似た性質を持ち、角質層の水分を保持します。

→ 肌の乾燥や荒れを防ぎ、しっとり感を保つ働き。

・紫外線吸収・抗酸化作用

セリシンは紫外線を吸収する性質を持ち、光老化(シミ・シワ)を防ぐ効果が期待されています。

・皮膚炎やかゆみの緩和

シルク製の下着や寝具はアトピー性皮膚炎の患者の肌刺激を軽減する報告があります(特に合成繊維と比較して)。

② 抗酸化・抗老化作用

・セリシンに含まれるアミノ酸(セリン、グリシンなど)が活性酸素を除去し、細胞の酸化ストレスを抑制します。

→ これにより、老化防止や生活習慣病予防に寄与する可能性が研究されています。

③ 血糖コントロール・代謝改善作用

・シルク由来たんぱく質の分解物(シルクペプチドやフィブロイン加水分解物)は、

食後の血糖上昇を抑える作用があることが報告されています。

特に、蚕粉末に含まれる**イミノシュガー(DNJなど)**と併せて摂取することで、代謝改善効果が高まるという研究もあります。

④ 腸内環境の改善

・シルクペプチドは腸内の善玉菌を増やす働きがあり、便通改善や免疫機能の調整にも役立つとされています。

⑤ 睡眠・リラックス作用

・シルクのアミノ酸組成は、人の皮膚や髪に近く、触感も滑らか。

→ シルクの寝具やパジャマは副交感神経を優位にして、睡眠の質を高めるといわれています。