世界における養蚕業の現状(中国)

中国の養蚕業は世界規模で1位の生産量を誇り、世界の生糸生産量の約70%前後を占める最大国です。
その一方、近年は構造的な課題も顕在化しています。


1、中国の養蚕業の現状(世界の中心)

◇世界の生糸生産量の約7割を占める最大国である。

(主産地)

・浙江省・江蘇省(高品質シルク)

・四川省・広西チワン族自治区(量産型)

桑栽培 → 養蚕 → 製糸 → 織物 → 輸出まで一貫した産業チェーンを国内に保有

⇒「量・価格・供給安定性」で世界市場を主導

2、 中国養蚕業の強み

① 圧倒的な生産力

・機械化・大規模化が進んだ養蚕農家

・繭の安定供給が可能

② 産業集積(クラスター)

・養蚕農村 × 製糸工場 × 繊維企業 × 輸出

⇒コスト競争力が非常に高い

③ 研究・応用分野の拡大

カイコを使った医療用タンパク質やバイオ素材などの機能性成分研究が国家レベルで進行中

3、 中国養蚕業の主な問題点

①:農村の高齢化・担い手不足

・養蚕は桑の管理や温湿度管理、繭の収穫など労働集約型であり。

・若者は都市部へ流出→ 後継者不足が深刻である。

②:コスト上昇と国際競争

・人件費・土地代の上昇

・インド、ウズベキスタン、ベトナムなど新興養蚕国が低コストで台頭

・絹価格の変動が大きく、農家収入が不安定

③:環境負荷・持続可能性
・桑畑拡大による水資源使用、農薬・肥料依存など製糸工程での排水やエネルギー消費への規制強化が進行中である。

④:品質のばらつきとブランド課題

・大量生産重視の結果→ 高級シルク市場では日本・イタリア産に劣る評価を受ける

⇒「中国産=安価」というイメージが根強い

4、中国が進める対策・今後の方向性

①量から「質」への転換

・高品質繭専用の品種育成

・ブランドシルク(高級用途)へのシフト

②スマート養蚕

・Lotによる温湿度管理、病害モニタリング、労働負担軽減と若年層参入を狙う

③バイオ・医療分野への展開

・絹糸だけでなく医療用素材や再生医療、機能性成分(DNJなど)を重視