認知症の予防と治療について

  1. 認知症の基本的な理解
    認知症とは、脳の病気や障害により記憶力、判断力、思考力などが低下し、日常生活に支障が出る状態。
    日本では高齢化に伴い、2025年には65歳以上の約5人に1人が発症すると推計されています。
    <主なタイプ>
    ・アルツハイマー型(最も多い)
    ・血管性認知症(脳梗塞・脳出血が原因)
    ・レビー小体型
    ・前頭側頭型 など
  1. 認知症の予防
    2-1. 生活習慣病対策
    認知症の発症リスクの約40%は生活習慣で予防可能といわれています。
    特に高血圧・糖尿病・肥満・高脂血症は重要な危険因子。
    <対策例>
    ・血圧:120/80mmHg前後を目安にコントロール
    ・血糖:HbA1c 6.0〜6.5%程度を維持
    ・体重:BMI 18.5〜24.9を目安に
    ・コレステロール・中性脂肪も適正値に保つ

2-2. 食生活
・地中海食:魚、オリーブオイル、野菜、果物、全粒穀物、ナッツ類を多く取り、赤身肉・加工肉を控える。
・MIND食(地中海食+DASH食):認知症予防に特化。ブルーベリー・葉物野菜を積極的に。
・塩分控えめ(1日6g未満)
・甘い飲料・高糖質食品を控える(糖尿病予防にも直結)

2-3. 身体活動
・週150分以上の有酸素運動(ウォーキング、サイクリングなど)
・週2回以上の筋トレ(スクワット、軽いダンベルなど)
・運動は脳血流を改善し、BDNF(脳由来神経栄養因子)を増加させ、神経細胞の維持に貢献

2-4. 認知活動
・読書、楽器演奏、パズル、語学学習、囲碁・将棋など
・社会参加(趣味サークル、ボランティア)も脳の刺激に
・デジタルデバイスの軽い活用(写真整理、SNSなど)も効果的

2-5. 睡眠・ストレス管理
・睡眠時間:6〜8時間
・睡眠時無呼吸症候群は早期治療
・慢性的ストレスやうつ症状は認知機能低下を促進するため要対応

2-6. 感覚器のケア
・難聴は社会的孤立→認知症の独立したリスク因子
→ 補聴器の早期使用が予防に有効
・視力・歯の健康も維持(咀嚼力低下は脳への刺激減少)

  1. 認知症の治療
    3-1. 薬物療法
    ・現在の薬は「進行を遅らせる」ことが主目的で、根治はできません。
    ・アルツハイマー型
    ・ドネペジル(アリセプト)
    ・ガランタミン
    ・リバスチグミン
    ・メマンチン(中等度~重度向け)
    ・レビー小体型・血管性認知症:一部薬が有効な場合あり

3-2. 非薬物療法
・認知リハビリ(記憶訓練、回想法、作業療法)
・音楽療法、園芸療法、アニマルセラピー
・運動療法(歩行訓練、バランス訓練)

3-3. 生活環境の工夫
・室内の段差解消・明るい照明
・見守りセンサーやGPS機能の活用
・家族・介護者への支援(レスパイトケア、認知症カフェ)