養蚕の豆知識
養蚕の豆知識
- 蚕は「家畜化された唯一の昆虫」
蚕(カイコ)は、野生では生きられません。人間が与える桑の葉なしでは生きられないほど完全に家畜化されている、世界でも珍しい昆虫なんです。
野生のカイコガはすでに絶滅していて、養蚕用に改良されたものだけが残っています。 - 桑の葉しか食べない
蚕は基本的に「桑の葉」しか食べません。これを 単食性 といいます。
他の葉を与えても食べないか、食べても育たないため、桑畑の存在が養蚕業の基盤になっています。 - 一生のうちに「4回眠る」
蚕は幼虫の間に 「眠(ねむり)」 と呼ばれる脱皮を4回行います。
5齢幼虫になると、糸を吐いて繭を作る準備を始めます。
この「眠り」のタイミングは、養蚕農家が世話をする上でとても重要です。 - 蚕の糸は長~い1本糸
繭を作るときに吐く糸は、なんと 約1,000〜1,500m にもなる1本の長い糸。
その細さは人間の髪の毛の 30分の1程度 で、しなやかで強い繊維になります。 - 繭1個からとれる生糸の量
繭1個から取れる生糸は 約300~400m分(重さにすると0.3~0.5gほど)。
1着の着物を作るには 繭が2,000〜3,000個 必要と言われます。 - 繭は白だけじゃない
日本では白い繭が一般的ですが、世界には 黄色・緑色・ピンクがかった繭 をつくる品種もいます。
染色しなくても色つきの絹糸がとれるため、工芸用や研究用に注目されています。 - 養蚕と日本の歴史
養蚕は約2,000年前に中国から伝わり、日本でも平安時代には盛んに行われていました。
明治時代には生糸が日本最大の輸出品となり、経済発展を支えました。
世界遺産の「富岡製糸場」は、その象徴ですね。