養蚕業の歴史~人とカイコとの繋がり~

◉ 起源は古代中国

養蚕(ようさん)とは、蚕(かいこ)を育てて絹糸(シルク)を得る仕事のことです。その起源は約5,000年前の古代中国にさかのぼります。
伝説では、中国の皇后「西陵氏(せいりょうし)」が、蚕が繭(まゆ)をつくって糸を吐くのを見て、絹糸の取り方を発見したとされています。

◉ シルクロードを通じて世界へ

中国で発展した養蚕技術は、**シルクロード(絹の道)**を通じて西アジア、ヨーロッパ、そして日本など世界各地へと広がりました。
古代では絹は非常に高価で貴重なもので、「黄金と同じ価値がある」とも言われていました。

◉ 日本での広がり

日本には**弥生時代の終わりごろ(3世紀頃)**に中国・朝鮮半島を経由して伝わったと考えられています。
奈良・平安時代にはすでに養蚕が広まり、天皇や貴族の衣装に使われていました。

◉ 江戸~明治時代:産業としての確立

江戸時代になると、農家の副業として全国的に養蚕が盛んになりました。
特に明治時代には、絹が日本の重要な輸出品となり、「日本の近代化を支えた産業」として国家レベルで推進されました。

◉ 戦後の衰退と現在

戦後になると、化学繊維(ナイロンやポリエステル)の登場や海外からの安価な絹の輸入により、日本の養蚕業は急速に衰退しました。
しかし近年では、蚕を利用した健康食品・医療・化粧品などの分野で新しい活用法が注目されており、「未来のバイオ資源」としての再評価が進んでいます。


■ まとめ

時代養蚕業の特徴
古代(中国)皇后が発見、王族の秘宝として発展
奈良~平安(日本)上流階級の衣装用に普及
江戸時代農家の副業として広がる
明治時代絹が日本の主要な輸出品に
現代食品・医療など新たな可能性に注目