漢方薬としての蚕!

蚕(かいこ、学名 Bombyx mori)は、古くから 東洋医学(漢方・中医学)において貴重な生薬 として利用されてきました。ここでは、漢方薬としての蚕の種類・効能・使われ方をお話しします。

<主な生薬としての効能>

1、 白僵蚕(はくきょうさん)

◇味・性質:鹹(しょっぱい)、辛、平性

◇帰経:肝・肺経

(主な効能)

・風を除き痙攣を止める(鎮痙作用)

・咽喉の腫れを解消する

・風熱による発疹や麻疹を改善

(代表的な処方)

・牽正散(けんせいさん):顔面神経麻痺の治療に使用

・鎮痙薬として「小児のひきつけ」「破傷風」などに用いられることもあります。

2、蚕砂(さんしゃ)

◇味・性質:辛・甘・温

◇帰経:肝・脾経

(主な効能)

・風湿を除き、皮膚のかゆみを和らげる

・関節痛やリウマチ様の痛みを軽減

・胃腸の不調(湿による腹部膨満感など)にも応用

(代表的な処方例)

・蚕砂湯:皮膚の湿疹や慢性じんましんなどに使われます。

3、蚕蛾(さんが)

◇味・性質:甘・咸、温

◇帰経:肝・腎経

(主な効能)

・補腎壮陽(滋養強壮)

・血行を促進し、更年期障害・生殖機能の低下を改善

・古代では「房中薬(性機能を高める薬)」として珍重されていました。

4、蠶蛹(さんよう)

◇味・性質:甘、平

(主な効能)

・高タンパク・高脂質の栄養源

・血管・皮膚・代謝の健康維持

・現代では食品として(炒って食べる、粉末にして健康食品化)も普及

・韓国・中国では、伝統的に「美容」「貧血改善」「スタミナ食」としても使われています。

<応用と現代的な使い方>

・「白僵蚕」や「蚕砂」は現在も漢方薬局で入手可能で、煎じ薬・粉末剤として使用。

・「蚕蛹粉末」や「蚕蛾エキス」は健康食品としてカプセル化され、日本・中国・韓国で販売。

・日本では薬機法上、医薬品成分としての蚕生薬は「生薬」扱いですが、食品用途では「乾燥蚕粉末」「蚕蛹粉末」などが利用されています。