蚕粉末の韓国での位置づけは!?
<蚕粉末の韓国での歴史と位置づけ>
1. 歴史的背景:韓国では古くから「薬食同源の素材」
韓国では、蚕(特に「乾燥蚕=白殻蚕(ペッカム)」)は古来から生薬として扱われ、
東医宝鑑(韓国の古典医学書)にも収載される伝統素材です。
● 伝統医学での利用例
・主に「風(ふう)」の症状(けいれん・ひきつけ)への処方
・喉の炎症・咳などの緩和
・血行や気の巡りの調整
・皮膚疾患への外用
こうした背景から、蚕由来素材は韓国で薬効のある昆虫生薬として長い歴史を持っています。
2. 近代以降:食品素材としての活用が本格化
20世紀後半から、韓国では蚕の栄養価が見直され、
食品や健康食品としての応用がスタートしました。
● 食品素材として注目された理由
・高たんぱく(アミノ酸バランスが良い)
・不飽和脂肪酸、ミネラル、ビタミン類を含む
・伝統生薬としてのイメージが強く受け入れやすい
韓国では、蚕粉末を配合した伝統茶、粉末食品、加工食品などがローカル市場で流通し始め、生薬としてだけでなく“健康素材”としての位置づけが形成されました。
3. 現代:韓国の研究機関が蚕由来イミノシュガーに注目
韓国では、2000年代以降、**蚕由来のイミノシュガー(1-デオキシノジリマイシンなど)**に関する研究が活発化。
● 特に進んだ領域
・食事由来の糖質吸収に関する研究
・血糖上昇に関係する酵素阻害メカニズムの解析
・蚕由来成分の機能性素材としての利用可能性
韓国農村振興庁(RDA)や大学研究室が蚕粉末や蚕抽出物の食品応用に関する研究を多数発表しており、蚕は「伝統素材 × 科学研究の対象」という位置づけになっています。
4. 現在の市場での位置づけ
韓国では蚕粉末は次のようなポジションにあります。
・伝統医学に根ざした自然素材・・・古くからの生薬としてのイメージが強く、安心感がある。
・ 高たんぱく昆虫食品としての評価・・・世界的な昆虫食トレンドを追い風に、栄養食品としても注目。
・科学研究による機能性素材の候補・・・イミノシュガー系の健康素材としての研究が発展しており、健康機能を期待する食品素材としての価値が高まっている。
5. 日本市場との違い
◇韓国は「伝統医学(東医)と食品」を統合して考える文化があり、蚕素材は長く「医食同源」の一部として扱われてきました。
◇一方、日本は蚕=絹産業のイメージが強く、健康食品としての利用は比較的新しいため、韓国の方が一般消費者の“抵抗感が少ない”のが特徴です。
