糖尿病性合併症「糖尿病性網膜症」について
◆糖尿病性網膜症とは、高血糖が長期間続くことで、眼底(網膜)の細い血管が障害される病気です。
日本では成人の失明原因の上位であり、発症初期はほとんど自覚症状がないが、糖尿病の罹病期間が長いほどリスクが上昇する。
1、発症のメカニズム
◇高血糖が続くと:網膜の毛細血管がもろくなり、血管が詰まる・漏れるといった状態になる。
網膜が酸素不足になると、それを補おうとして異常な新生血管が出現し、出血や網膜剥離を起こし、視力が低下していく。
※「血管障害」が本質です。
2、進行段階(重要)
◇糖尿病性網膜症は、次の3段階で進行します。
① 単純網膜症(初期)
・毛細血管の膨らみ(毛細血管瘤)小さな出血や浮腫が現れ、自覚症状ほぼないが、この段階での発見が理想的である。
② 前増殖網膜症(中期)
・血管の閉塞が増え、網膜の虚血(酸素不足)や出血・白斑が増加する。
これにより 急速に悪化する可能性ありえる。
③ 増殖網膜症(末期)
・新生血管が発生し、硝子体出血や牽引性網膜剥離が出現し、失明リスクが非常に高い段階になる。
3、症状としては
・初期段階では、ほぼ無症状であり、中期段階になると視界のかすみやゆがみが見られ、末期症状として急な視力低下、黒い影、失明などに移行する。
※「見えにくくなってからでは遅い」のが最大の特徴です。
4、検査と診断
・眼底検査(散瞳して網膜を観察)
・眼底写真
・蛍光眼底造影(血管の詰まり・漏れを確認)
・OCT(網膜の浮腫評価)
糖尿病患者は症状がなくても定期検査が必須である。
5、治療
◇進行度により治療が異なります。
①血糖・血圧管理(全段階で重要)
・HbA1cの適切な管理
・高血圧・脂質異常の是正
②レーザー治療(網膜光凝固)
・新生血管の発生を抑える
・失明予防が目的(視力回復ではない)
③抗VEGF薬の硝子体注射
・網膜浮腫や新生血管を抑制
・視力改善が期待できる場合あり
④硝子体手術
・大出血・網膜剥離時
・進行例の最終手段
6、予防と早期発見
◇最重要ポイント
・血糖コントロール
・年1回以上の眼底検査(初期でも)
・血圧・脂質管理
・禁煙
⇒発症・進行はコントロール次第で大きく防げることが分かっています。
